2016年9月22日木曜日

自身の強さを活かし弱さを補う

自身の強さを活かし弱さを補う

SDA in 王滝の余談の話でもありますが、一番大事でもあった機材のポイントについてレースのレポートでは触れていなかったので、少し書かせて頂きたいと思います。

まず、今回の王滝120kmで今までの王滝と大きく変わった点は、何といっても乗る機材 バイクを替えた点でした。

PAXPROJECT FS-29er

今回はこの仕様での出走となりました。

ちなみに5月の王滝は以下の仕様でした。

・GIANT ANTHEM X advanced 29er

外見はガラッと変わりますが、バイクのジオメトリやポジションはほぼ同じになります。


それでは何故乗り替えたのか、の解説に入る前に表題にある
「自身の強さを活かし弱さを補う」
という意味について、気になった方は多いかと思います。

この意味について大まかに解説していきます。

自身と言うのは、言うまでもなく私に当てはまります。
私の走りのスタイルは、自身の走りを分析してそれをコースや対戦相手に合わせて変化させていくという手法を取っているつもりです。
このMTB競技の中でも、XCO(クロスカントリーオリンピック)とXCM(クロスカントリーマラソン)は登りと下りの複合競技であることが多く、そこをどう攻略していくのかが、レースのカギを握っていると考えています。
レースでのレポートでも記載しましたが、私は国内の"この"クラスにおいて、登りパートは比較的登れる方かと全体から見て分析していますが、逆に下りパートは果てしなく下位になるかと考えています。
今回の王滝の上位選手と比較しても、同じことが言えるかと思います。

このことから、自身の強さを如何に引き出し、逆に弱さをどう補わなければならないのか、という事にフォーカスを当てて、トレーニングや機材について考えてきました。

なお、今回のバイクは限りなく王滝の為だけの仕様になり、他のXCMのレースであれば変更する点は出てくるかと考えています。


まずは、登りパートにおいて。
通常の登りで最も大事であることは、軽さ、これは間違えないかと思います。
しかし、これは路面が一定であり、綺麗に踏むことができる場合のみかと自分は考えています。

それでは何を重視したか。それは、リアサスペンションの位置でした。

私は王滝に限っては、フルサスペンションバイク(以下:FS)の方がハードテールバイクよりもトータル的に速いと考えています。
前回使用していた、ANTHEMはいわばFSバイクのフローター型のになりますが、今回使用したFS-29erは4つのリンクが可動する4バーリンク機構のFSバイクになります。
どちらの機構も、アクティブ時のサスペンションのストローク量に大して差はありませんが、若干乗り味が異なります。

私の乗り味では、フローター型は重心が後ろにある時の運動に強く、4バーリンク型の方は重心が前にある時の運動に強い、と感じました。
私は王滝というステージにおいて、サスペンションの効果を発揮させてあげたいのは、下りではなく登りの方が実は強いのです。
したがって、重心が前にある時の運動に強い≒登りの運動に強い、4バーリンク型にシフトしたいと考えました。
乗り替えるにあたって、Rockshox monarch XX リアサスを移植時にHMチューンからMMチューンへ変更しましたが、それ以外は大きな変更点は無く、エア圧もほぼ同じでセッティングをしています。
今回の登りは、大雨の影響ではっきりと効果を実感することは出来ませんでしたが、5月の時よりも地面からの突き上げが強く若干の登りでの推進力が生まれたのではないかと考えています。

ですが、4バーリンクは下りではやはりフローター型に引きを取る、もしくは負けてしまうと感じる部分も同時に感じました。


次はその下りパートについてになります。
先ほどはサスペンションの位置に関しての話でしたが、下りパートではその位置以上に重要になってくることは、間違いなく制動力いわばブレーキの力と考えています。
王滝を一度でも走られた方なら分かると思いますが、レース序盤と後半のブレーキングの感覚はかなり違ってきます。
簡単に言うと、後半は握力が無くなり通常のようにブレーキを掛けることが出来なくなってしまうのです。
このブレーキングのミスで、コースアウトやパンク、更には落車という大事に繋がっていまうとうケースもあり、王滝のようなハイスピードな下り ダウンヒルにおいてこそブレーキの重要性を再認識します。

今回のレースで使用したブレーキは、SRAM GUIDE でした。

(画像はTwitterより)
 
このブレーキの特徴は、キャリパー側のピストンの数が通常の2個の倍の4個ある、という点になります。
つまり、より少ない力で高い制動力を得ることが出来ることが特徴になります。
従来のブレーキは2ピストンのものであったため、乗り始めの頃の違和感はかなりありましたが、今回のレースにおいては、このブレーキに後半は助けられたと言っても過言ではありません。

実は王滝前週のCJ白馬での落車の際に、左の手首を捻ってしまい、今回の王滝のレースも若干の痛みを残した状態でスタートしました。
序盤こそは痛みは出なかったものの、60km過ぎから左手首が痛み、通常のハンドルを握った状態ですら傷む状態でありましたが、痛む中でもそれなりのブレーキコントロールを行うことが出来ました。

XCOでは、上半身の疲労等はレース中に起こることはほぼ無いですが、XCMでそれも登りと下りが殆どを占める王滝であるからこそ、こういったブレーキにこだわるという事は必要かと考えています。


最後に表題に戻りますが、"速く走る"という行為を追求した時、やはりその人の得意な点と苦手な点が出てくる、これはどんなに完成されたライダーでもあるかと思います。
人によって考えは様々ですが、私はできれば得意な点も、苦手な点も補えるようなアプローチで"速さ"というものを追求したいと考えています。
自身の強さも弱さもしっかり把握し、それにあったトレーニングや機材も取り入れて行くということの重要さを、今回のレースで改めて実感することが出来ました。

また、こういった機材に関してのピックアップが少しずつできればと考えています。

それでは。

PAXPROJECT 宮津


Thanks for . Dirtfreak 様 , PAXCYCLE

SRAM GUIDE
PAXPROJECT FS-29er
PAXPROJECT カーボンファットリム リムテープレスver








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