2016年9月2日金曜日

トレーニング方法の確立と効率について


前々からずっと書きたいと思っていた項目です。
私自身、トレーニングをするなら質の良いものを出来るだけ取り入れ、常日頃から色々と考えながらトレーニングすことを心掛けています。(つもりです) 

また、予め断りを入れさせて頂ますが、記事として上げる方法や手段はあくまでも一例であって、私自身に最適化して考えついたものです。参考までに、適当に読んで頂ければ幸いです。

なお、今回は私の専門分野であるXCO(クロスカントリーオリンピック)のMTB競技の登りに的を絞って考えていきたいと思います。


最初に、トレーニングをする目的とは…
これは、人によって様々あるかと思いますが、私はなによりレースで結果を出すことを最優先にしてトレーニングを行っております。
ここで重要となることは、レースで結果を残すためにはどのような練習を取り入れなければならないのか、と考えることになります。XCOは半分以上登りがメインになる競技であり登りをトレーニングで強化するという考えが一般的になります。
となると、登坂のトレーニングに重点を置く、もしくは登坂に近いシチュエーションでのトレーニングに着手する、という考えに至るかと思います。
ここで私が着目した点は、トレーニングからレース時と同じ時間で同じ強度もしくはペース・リズムで行う必要があるかどうか。答えから言うと、これはyesです。
この理由は、実に単純な思考からきてまして、「練習で出来なければ、試合でも出来ない」という考えがあります。
しかし、レース時と同じということはトレーニング後のダメージもレース後と同じもしくはそれ以上(レースのように調整せずに取り組むため)となることは読めるかと思います。
問題は、いかにしてレース時に近い動作をトレーニングのダメージも考慮しながら継続出来るか、これに的が絞られます。

私の場合、基本的に長い時間のトレーニングを出来る日は土日のみ(現在は少し違います)ですが、土日よりも平日の方のトレーニングを充実させられるように心掛けています。
これは、土日にレースがあるため土日に重点を置くトレーニングをしてしまうと、平日のルーティンが疎かになってしまい、土日までにパフォーマンスを良い状態に持っていくことが難しくなってしまうためです。

私がトレーニング効率に関して主に考えていることは以下の3つです。

① トレーニングをするにあたって、追い込みすぎても、追い込まなさ過ぎても駄目。程よい感覚で終えられるようにする。

② 一定期間、同じメニューを繰り返し行う。

③ パラメータ(パワーメータ、心拍計 etc)を上手く利用する。


まずは①から解説に入ります。
先ほどの話にもありましたが、レース時と同じ時間で同じ強度もしくはペース・リズムでトレーニングを行う必要があると記載しました。
しかし、レース時と同じということはトレーニング後のダメージもレース後と同じもしくはそれ以上となり、日によって体調のバラつきが生じやすくなってしまい、トレーニングの継続が難しくなります。
逆にレース強度に達しない状態で、レースよりも極端に少ない時間のトレーニングをする。これでは、先ほどの概念から外れてしまいます。
自身が継続できるような、レース時に近い動き、動作を探る必要があります。

次に②について。
一定期間と言うのは少なくとも1ヵ月以上、それも毎日ではなく週に1~3回程度になります。これを行う理由は、同じ状態でメニューをした際に過去との比較がし易いからです。過去のデータは多ければそれに越したことはありませんが、例え1つのデータだったとしても前回に対してどう変化したのかを把握出来ることにより、次回以降のトレーニングにそれを活かせることは十分に可能です。思いつきでメニューをやる、毎回メニューを替えるよりかは、既にあるメニューを行う方が、組んだメニューに対する信頼性やメニューを考える時間等も省くことができ、精神的にも負担は少なくなってくるかと思います。

最後は③について。
これはあくまでも補助的なツールであり、一番良いのは、本人が感覚で自身をコントロールしトレーニングするということになりますが、一般的な人間であればそれはかなり厳しいです。(少なくとも私は無理) 距離・時間・心拍計・パワーメータ、この4つのパラメータのうち3つ以上利用できれば満足のいく練習と必要なデータ採取は可能かと思います。(距離・時間から速度は出せる)


以上の3つを踏まえた上でひとつのメニューを春先から実践しています。

メニュー条件
平日の火曜~木曜のうちどれかの日で週に1回実践する。

・3.5km  平均斜度5~6%の登り × 2set (同じコースで計測地点も同様に設定)
・時間:11分~12分
・心拍数:最大心拍の85%前後(±10bpmまで許容範囲)

以上の3つをパラメータとして考え、4つめのパラメータとしてパワーメータを使いデータを取って、のちのデータ比較をし易いようにしていますが、基本的には上記の3つで行っています。なお、パワーデータでの比較として利用するのは、主にNP(normalized power)を利用しコース中での標準化出力に着目しています。


3つのパラメータの解説に移ります。
3.5km 11~12分 × 2et :これは時間を倍にすると22~24分、XCOの競技の約90分中で登りでのこの領域もしくはそれ以上で踏む時間がだいたいこれの1.5倍ぐらいの時間になります。

以下は、6月に行われたCJ-2妙高のパワーの時間分布データです。


L1で脚を休める時間の次に多いのは、なんとL4~L6といったFTPやVO2max、アネロビック強度での運動なのです。そしてこのL4~L6での運動時間は約35分。
一回のトレーニングでレースと同じ強度での運動という点は、完全に満たせてはいないものの、それに近づいた時間でのトレーニングはなんとなく達成出来ています。

ちなみに、メニューでのコース 3.5kmでのNPは330w~360wほどです。(5.0~5.5w/kg)

最大心拍数の85% という数字に関して : これはあくまでも推測になりますがXCOレースでの平均心拍数は90%をほんの少し下回る値になります。
しかし、平均心拍数であるのでもちろん下りで脚を休めている時間も含まれるわけであり、登りだけで見ると90%付近かそれを少し上回る域で踏んでいます。
以下はCJ-2妙高のハートレートの時間分布データです。


最高強度のzone5で少なくとも20分、またそれに迫る付近zone4で60分で運動をしています。
本来zone5なるものは、練習でその領域に持っていくことが一苦労どころかかなり追い込まないと上げられません。
しかし、レースであればアドレナリンや緊張による鼓動の上がり、その他の要因からも簡単に最大心拍の90%に上がってしいます。
その90%から5%差し引いた値である85%でありますが、XCOの競技時間に対応しているという理由以外にもう一つこの領域で行う理由があります。
それは、身体に「余裕を持たせる」ことです。
あえて追い込みすぎず余裕を持たせる。これは、精神的に余裕を持った状態でトレーニングするという考えがあります。
タイムアタック等の全開走行時では、目先のファクター(タイム短縮・コースの攻略 etc)に囚われがちになります。
全開時よりも一歩引いたzoneでのトレーニングでは、精神的余裕を持たせることにより、良い集中の方法を探る、またフォーム・ペダリングをある程度意識した状態でのトレーニングが出来ることが可能と考えています。
また、交通事情により、対向車が来てたとしても、それなりの対応をし対処することも可能かと思います。

やみくもに全力で追い込むトレーニングで、自身のピークを把握することは意外と難しいです。
追い込める日もあれば、追い込めない日ももちろん存在し、結局その日のトレーニングのピークを把握することしか出来ません。
最適化された領域を定めて運動することにより、日によってのズレを修正しようとする動きが働いて、レースでの安定感という別の副産物を得られることも十分可能です。

領域を定め、それにあった時間の運動を行う。
これが、私のトレーニングの真骨頂でもあります。


以上での内容は、平日ルーティンの固定メニューとして約半年続けてきました。
その結果はこのようになっています。


このグラフは、このコース中の後半にあるセグメントのタイムリザルトを4月ごろから現在に至るまで表したものです。(1回のトレーニングに2度同じコースを登っているため、1回で2つの○が存在する)
○の位置にばらつきがありますが、全体的に○が右肩上がりになっていることが分かります。
もちろん全て同じ気候条件ではないので、天候や気温によってタイム差は生じますが、最大心拍数の85%付近のゾーンで行うことは守ったうえで、ラストにペースを上げる等のアレンジを入れています。
数値やデータからでは大体の向上しか読み取ることは出来ませんが、体感ではかなりの効果を得られているように感じています。


トレーニングに「必ず」といった正解は存在しません。
大切なことは、例え効率の悪いであろうトレーニングでも、自身で確立した根拠を持って継続的に取り組むことかと思います。

今回はトレーニング効率から、私自身のメニューの一例の紹介を簡単にさせて頂きました。
また機会があれば違うネタでも書ければと思います。

written by:yuroppi


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